短歌

板坂壽一 発表短歌の記録 令和六年(2024)12月6日更新

    発表作(掲載・放送など)を順次に入力してゆく”進行形”のホームページ歌集です。

    ①現代仮名遣ひで公表された場合も投稿原歌の歴史的仮名遣ひに戻して入力します。

    ②発表確認順に番号を付すため、内容の季節や事柄が前後する場合もあります。

    ③アンダーライン部は最新の発表作品です。


番号    短 歌 作 品             発 表 デ ー タ・選 者(敬称略)


 

 

 

              令 和 六 年 (2024)

 

      12月の発表は現在2首です。

 

1063見舞ひたるあの高層に届かざりしこの虫の音を帰路にまた聞く

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・12/6・一席=秀逸(花山多佳子)

     【評】行きに聞いた虫の音を帰路にも聞く。そのときに、見舞った高層では虫の音が届いていなかったことに気づいた。

        その意識の経緯が掬(すく)い取られている。高層に病む人への思いがある。

 

1062僕ハナア右翼ヤナウテ民族派ヤと笑みたまひにき郷の先師は

      桃の會・12/1(桜新町)・好評を得て→自選

 

 

      11月の発表は現在5首でした。

 

1061兵事下の子らを憂ひぬ投下弾の空気切り裂く音も知るゆゑ

      桃の會・11/3(紙上式)・好評を得て→自選

1060八十年むかしの我にあらざるや穂草分けつつ離(さか)りゆく児は                                                  

      桃の會・11/3(紙上式)・好評を得て→自選

1059見つかりし従弟の骨を叔母夫婦の墓下に納(い)るるは我がさだめらし

      雑誌『短歌』12月号・[角川歌壇]佳作(結城千賀子)

1058愉快犯めける敵機の去りし浜に蝿のむらがる臓腑(はらわた)を見き

      雑誌『短歌』12月号・[角川歌壇]・題詠「夫婦」特選・(鈴木英子)

1057穂芒はわが釣り糸をしたたかに絡めて解かでゆづる気(け)もなし

      雑誌『現代短歌』令和7年1月号[読者歌壇]・佳作(田中塊+萩岡良博)

1056終戦時の十四烈士の自刃録は遂に巻末「朝焼け」とこそ

      雑誌『短歌』11月号・[角川歌壇]佳作(岡本育与)

1055秋霖の風情いづこぞ多摩にまた線状降水帯のどしや降り

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・10/25・一席=秀逸(花山多佳子)

1054 ひらくたびに轟音ずれてとどきゐし花火終りぬ脳よ安らげ

      『定年歌壇』タウン紙[定年時代]10月上旬号・一席(三原由起子) 

1053再会の同期三人(みたり)がそれぞれの爾後を語るに酔はざらめやも

       桃の會・10/6(桜新町)・好評を得て→自選

1052「多摩なれやモノレールより黍嵐」とかつて句にせしあたりほぼ屋根

       桃の會・9/1(通信式)・好評あり→自選

1051日の丸の旗の群れめく底紅よ歓呼あぐるか汝が周波にて  

      桃の會・9/1(通信式)・好評あり→自選

1050戦末期より知る昭和世代にてその後を架空と思ふことあり

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・10/4・一席=秀逸(花山多佳子)

1049多摩のここに翅黒蜻蛉を見つくるも場所は明かさじ保護をおもへば

      多摩歌話会短歌大会(令和6年度)9/28評者・今井恵子添削 ※結語[おもひて]→[おもへば]

1048仏壇の皿に残るは先ほどの氷菓の棒よ去りし曾孫め

      雑誌[NHK短歌]10月号[氷]佳作 (川野里子)

1047な伐りそと妻が遺せし柚子の木に羽化の揚羽よ戻れしばしば

      雑誌『現代短歌』11月号[読者歌壇]・佳作(大松達吉+大森静佳)

1046かの夏はホスピス棟に妻在りてひた眠りしよ汗ばみもせで

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/13・入選(花山多佳子)

1045石塀の青蔦草を剥ぎゆくにやはり残れりスプレー落書き

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/6・入選(花山多佳子)

1044ざりがにを曾爺(ひいじじ)われに掲ぐるは現世を共にせる裔(すえ)の裔

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・8/30・一席=秀逸(花山多佳子)

1043女教諭は描き示しにき日の丸機のB29への体当たり図を

      雑誌『短歌』9月号・[角川歌壇]佳作(結城千賀子)

1042菖蒲田を俯瞰せるがに巡る蝶の上を基地への降下機影が

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・7/26・入選(花山多佳子)

1041人類ほど知略尽くして殺し合ふいきもの有りやこの宇宙には

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・7/19・入選(花山多佳子)

1040松落葉を摘まみ除きてゲートボールに励む姿を通夜に偲べる

      雑誌『現代短歌』9月号[読者歌壇]・佳作(大松達吉+大森静佳) ※従弟の葬儀

1039語りくれし人工関節とはこれか頑張りしよと骨上げに見る

      読売歌壇-7/8(黒瀬珂瀾)   ※従弟・松本隆吉君の火葬(5/31和歌山県)

1038遠き夜の城下町への空襲は焼き払ひしよ初片恋も

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・7/5・一席=秀逸(花山多佳子)

1037怒りつつむしり取りゆく庭草にも間々惜しむあり悔まるるあり

       桃の會・6/30=7月度の繰上げ開催・(桜新町)・好評を得て→自選

1036茶所の狭山に唸る茶摘機へと声かけてゆく夕鴉かな

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・6/14・入選(花山多佳子)

1035沈む日は円弧をさらに広げつつ遠山並の雲取山(くもとり)に寄る

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・5/31・一席=秀逸(花山多佳子)

1034講座にてオレハ死ヌ気ガシナイヨと朗らなりにき生(なま)の兜太は

       雑誌『現代短歌』7月号[読者歌壇]・佳作(大松達吉+大森静佳・共選)

1033秀才はかの原発に尽くしたれど一転苦悶したりき津波に

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・5/17・添削入選(花山多佳子)

1032装身具に興味を示さざりし妻はやはり着けゐずどの遺影にも

      雑誌[NHK短歌]6月号[アクセサリー]佳作 (大森静佳)

1031日本の無辜(むこ)らの町を空襲せし国に求めむ先づは謝罪を

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・4/19・入選(花山多佳子)

1030「地下を来て花の靖國神社かな」の拙句良しとぞ若き主宰も

        桃の會・4/7(桜新町)・好評を得て→自選

1029若蘆へと満ちくる潮に稚魚どちの遊ぶを見たや母郷訪ひたや

        桃の會・4/7(桜新町)・好評を得て→自選

1028一夜おいて心しづかに読み返すメールにやはり棘めけるもの

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・3/29・(花山多佳子)

1027ひい爺の吾をヒーチャンと呼ぶ(なれ)は子の子の子かな「生(なま)子孫」かな

       雑誌『現代短歌』5月号[読者歌壇]・佳作(大松達吉+大森静佳・共選)

1026「アメリカにもコンビニあるの?」と童より問ひたださるる世となりしかな

      雑誌[NHK短歌]4月号[顔]佳作 (岡野大嗣)

1025やはり汝は正直者よたつた今も出会ひがしらに顔をゆがめて 

      雑誌[NHK短歌]4月号[顔]佳作 (川野里子)

1024寒晴れの多摩を詫びたし災ひの鎮まらぬとふ能登に向かひて

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・3/1・(花山多佳子)※選者の懇切な添削あり

1023思はざりかつて遭ひたる空襲を曾爺(ひいじじ)としてまた憂ふとは

      雑誌『短歌』3月号・[角川歌壇]佳作(島崎榮一)

1022わが日記に外語は稀(まれ)よ晩酌の酒も肴もグローバルなれど 

      雑誌[NHK短歌]3月号[日記]佳作 (岡野大嗣)

1021仏壇のそばを憚(はばか)れ点滅の光せはしきクリスマスツリーめ

      雑誌『短歌』3月号-[角川歌壇]佳作(川野里子)

1020多摩湖より能登の方(へ)の空仰ぐなり地震鎮まれ雪よ降るなと

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・2/16・(花山多佳子)

1019「都べ」に「都ほとり」と入朱されし師を偲びをり在の川辺に

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・2/9・(花山多佳子)

1018B思ひつくままにバスにて書く歌を見つめなさるな相席の人

        桃の會・1/14(桜新町)・好評を得て→自選

1018冬晴れの瀬川に跳ぬる鱮(たなご)どちは何を告ぐるや地震(ない)にあらざれ 

       桃の會・1/14(桜新町)・会員選評あり

1017坂がちの北多摩の今朝霙(みぞ)るるを孫励みゐむ貨物配りに

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・1/26・一席=秀逸(花山多佳子)

1016(オサ)メ理(ツク)リ固(カタ)メ成(ナ)スこと易からぬ我が島国よましてこの星

      雑誌『現代短歌』3月号[読者歌壇]・佳作(大森静香)

1015鎮魂曲(レクイエム)の拝聴前に感性をうながして飲むむ酒よ効くべし

     雑誌『現代短歌』3月号[読者歌壇]・佳作(大松達吉)

1014黄葉の映る水面をゆく鴨よ汝が引く水脈(みお)の綾を知るまじ

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・1/19・新選者(花山多佳子)初掲載

1013 この路地に三角野球したるかな本塁一塁二塁のみにて

      『定年歌壇』タウン紙[定年時代]1月上旬号・(三原由起子) 

 

 

              令 和 五 年 (2023)

 

1012いささかも動かぬ浮子(うき)の間近にて水面しきりに打つ蜻蛉かな

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・12/1・秀逸(秋山佐和子)最終選歌

1011西伊豆の荒磯(ありそ)に着くや夕日へと先づは一振り挨拶の竿

      雑誌『短歌』12月号・[角川歌壇]佳作(佐波洋子)

1010パソコンといへども灯火親しむがごとき思ひぞ誤入力さへ

      読売歌壇-11/20-三席(黒瀬珂瀾) ※通常より1週遅い掲載。選者の都合か?

1009B逃げ込みし秋の蜥蜴よわが去ればすぐ出でてまた日を浴びよかし

        桃の會10/1(桜新町)→後日『桃の会だより』55号掲載

1009逆回しの動画シーンを思はせて噴水はまた一休みへと 

      雑誌[NHK短歌]12月号[テーマ-逆転]佳作 (岡野大嗣)

1008給油待つ車窓は今し赤蜻蛉のホバーリングの群れの中なり 

      雑誌[NHK短歌]12月号[テーマ-車窓]佳作 (吉川宏志)

1007行く秋に声細れども神代よりのいのちを継ぎに継ぐよ虫どち

        桃の會11/5(桜新町)・好評を得て→自選

1006星々のプラネタリウムより出でて帰路は秋晴れ多摩湖辺の道

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・11/3・入選(秋山佐和子)

1005また掛かる宣伝曲に聞き耐ふる量販店員および客どち 

      雑誌[NHK短歌]11月号[テーマ-店員]佳作 (吉川宏志)

1004川釣りの自賛の一首自粛せり洪水被害のニュース見て直ぐ

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/29・入選(秋山佐和子)

1003理香よその名の謂いいは渡来せしママが望みのアンジェリーカ

      雑誌『現代短歌』11月号[読者歌壇]・佳作(東 直子-最終選)

1002北多摩の在の小駅はこのところ草いきれせり夜半に下りても

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/15・入選(秋山佐和子)

1001せはしなく入れ替りゐし雨音と背戸の虫の音いままざりあふ

      明治神宮秋の大祭献詠・佳作・10/23献詠の神事に出席

1000究極のわが薄切りの鰯こそ今宵手酌のよき肴なれ

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/8・入選(秋山佐和子)

999 曾孫よ虫を追ふ児よわが遠き日に得し恋のすゑのいのちよ

      読売歌壇・9/4(俵 万智) ※通常(9/11)より1週前倒しの掲載。選者の都合か?

998 終戦に太刀もさやけくゆきしてふ烈士らの日ぞ慎(つつし)まな今日

      桃の會9/3(桜新町)・中澤伸弘選 ※歌会後に用字変更 つつしまな慎まな

997 池の面にあまたきらめく木漏れ日を見上げをりけむ底のざりがに 

      雑誌[NHK短歌]9月号・テーマ[見上げる]佳作 (岡野大嗣

996 内乱の差し迫りゐし旧ユーゴのアドリア海の夕陽おもほゆ 

      雑誌[NHK短歌]9月号[海]佳作 (川野里子)

995 少國民ワレラ國民學校ヘト歩調トリニキ背嚢ユラセテ

      読売歌壇・8/7(黒瀬珂瀾)

994 なづむ世に白さるすべり咲き盛り透くるごとしゑ昼過ぎの月

        桃の會8/6(桜新町)・好評を得て→自選

993 水道の検針員を濡らししよわが門口を守る紫陽花

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・7/28・入選(秋山佐和子)

992 骨と化してゐたる従弟を受取りてきし日帰りの旅ぞ酔ひたや

      雑誌『現代短歌』7月号[読者歌壇]・佳作(東 直子)

991 葉隠れにさ緑の蟻群るるかと見しが鎌あり蟷螂の子ぞ

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・7/7・入選(秋山佐和子)

990 いにしへに新田軍勢越えしてふ多摩の川原を来るよ薫風

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・6/23・入選(秋山佐和子)

989 臓腑より出づる気体の呼び分けを幼(おさな)もなせりおなら」「あくび」と    雑誌[NHK短歌]7月号[テーマ-あくび]佳作 (岡野大嗣)

988 散らばれる柘榴の花をかがみ見るにあたら実の気を宿しゐたるか

        桃の會6/4(桜新町)・好評を得て→自選

987 ながかりし嵐を経たる紫陽花に月昇りけり明日は歌会

        桃の會6/4(桜新町)・会員選あり→自選

986 歌ひ足りぬ鶯ならむ雨垂れの残れる今朝も背戸に来鳴くは

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・6/2・佳作(秋山佐和子)

985 逆さまの水影越えてくる声は逆順ならでホーにホケキョと

      雑誌『短歌』6月号・[角川歌壇]佳作(井江戸 雪)

984 「ご上水」と呼ぶ媼(おうな)ゐき北多摩のこの細流に沿ひし里には

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・5/19・入選(秋山佐和子)

973 鶯ぞかつて「裏に」と嬉しげに告げきし妻の噤む遺影よ

      雑誌『現代短歌』/7月号[読者歌壇]・佳作(東 直子)

982 川原にて待ちあはせゐし曾孫めはそのママつまり孫ゆ駆けくる 

      雑誌[NHK短歌]6月号[テーマ-待ち合わせ]佳作 (岡野大嗣)

981 それぞれに日影伴ふ土筆どち今宵はたぶん皆に月影 

      雑誌[NHK短歌]6月号[テーマ-春の草]佳作 (吉川宏志)

980 囀りのこの林には患ひにあへぐ小鳥ももしや幾羽か

        桃の會5/7(桜新町)・会員選あり・自選

979 百花園を巡りしのちのたそがれの家路の垣にほのと小手毬

        桃の會5/7(桜新町)・会員選あり・自選

978 再見(ツァイチェン)と白息交はし離日したる張(チャン)君そちらも梅見どきかや     [よみうり文芸]読売新聞多摩版・4/21・入選(秋山佐和子)

977 春雪にも孫は励むか坂がちのこの北多摩の宅配作業に

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・4/7・入選(秋山佐和子)

976 赤人(あかひと)も可笑しみにけむ和歌の浦に満ち潮まねく望潮(しおまねき)      桃の會4/2(桜新町)・中澤伸弘選

975 目も鼻も喉も痒しと歎きくる受話器もいまに花粉噴くやも

        桃の會4/2(桜新町)・会員選あり・自選

974 むら雲ゆ北多摩に差す日の槍の先それぞれに吉事(よごと)あれかし

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・3/24・秀逸一席(秋山佐和子)

973 ホエーッと汽車は吠えにき戦中と戦後を惑ひ育つ童に

      雑誌『現代短歌』5月号[読者歌壇]・佳作(東 直子)

972 剪枝員らつぎつぎ降りる大樹へとをりから昇るおぼろ夕月

        桃の會3/5(桜新町)・会員評を参考に推敲→・自選

971 源平に咲くこの梅に目もくれぬ速歩は義務のウォーキングらし

        桃の會3/5(桜新町)・会員好評あり・自選

970 晴天の多摩を詫びたや年賀状に「雪とケンカ」の書込みを見て

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・3/3・入選(秋山佐和子)

969 日本はなほ良き国ぞ年の瀬に遺失の財布とどけられゐて

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・2/10・秀逸一席(秋山佐和子)

968 まだ蕾なれども先に紅見えて寒椿なり続け照る日々

        桃の會2/5(桜新町)・会員好評あり・自選

967 訪ひかぬる高鷲(たかし)の対の碑に積み増してゐむ新年(にいどし)の雪

        桃の會1/7(通信式)・会員好評あり・自選

966 北多摩もにはかに黄ばみゆきにけりカレンダーには残り一枚

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・1/27・入選(秋山佐和子)新選者・初掲載

965 皆既蝕のあの重げなる月球を振り回すとやわれら地球は

      雑誌『短歌』令和5年2月号[角川歌壇]佳作(井辻朱夏)

964 マッチにての発火がさほど嬉しきか令和の御代の孫よ曾孫よ

      NHK全国短歌大会(第24回)全国短歌大会・入選

963 鉄道研究部(てつけん)といふ末孫に付合うてさらに乗り継ぐ初電車かな

      NHK全国短歌大会(第24回)全国短歌大会・入選

962 空爆のあのイーンてふ落下音を忘れ得ざるよ七十七年

      雑誌『現代短歌』3月号[読者歌壇]・佳作(東 直子)

961 壺焼のさざえの腸(わた)の苦味へとすぐさまあとを追ふよ冷や酒 

      雑誌[NHK短歌]令和5年・2月号[味]佳作 (佐佐木定綱)

960 高き雲は氷の粒か低き雲は水の粒かと仰ぐ時雨下

      読売歌壇・1/9(栗木京子)

 

 

              令 和 四 年 (2022)

959 重篤と見受けし帰路の着信に攣(ひきつ)りたれど別件ぞ 好

      雑誌『短歌』令和5年1月号[角川歌壇]佳作(井辻朱夏)

958 月蝕下に孫と電話を交はしをり多摩湖隔てて住まふ少年

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・12/16・二席(渡 英子)最終選

957 子ら去るやいなや暮れたる遊び場のジャングルジムに虎落(もがり)笛かな

        桃の會12/4(桜新町)・会員好評あり・自選

956 鰯雲鯖雲を経てけふの多摩をほのぼの行くよ羊雲どち

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・12/2・一席(渡 英子)

955 路地の辻にデイケアのバス現れて妻戻りくる日々ありしかな

      雑誌『短歌』12月号[角川歌壇]佳作(三枝浩樹+安田純生)

954 (ひよどり)のさわぐあたりに赤き実が玉川上水沿ひの散策

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・11/18(渡 英子)

953 息のよくつづく虫よとつい思(も)ひぬ翅をこすりて鳴ると知りても

      雑誌『現代短歌』2023/1月号[読者歌壇]・佳作(東 直子)

952 出会ひたるボウルにてまだ余所余所しこれより煮込むおでん種どち 

      雑誌[NHK短歌]令和五年・1月号[テーマ調理]佳作 (笹 公人)

951 鴨どちはアムール川になほ浮くかそろそろ発()てやこの多摩湖へと

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・11/11(渡 英子)

950 しあさつてに蝕みあると聞く月のまろむ夕べや虫すがれゐて

        桃の會11/6(桜新町)・会員好評あり・自選

949 たそがれに石蕗(つはぶき)の花おのづからともるとも見ゆ仄かなれども

        桃の會11月度(桜新町)・会員評を参考に改作・自選

948 ぷりぷりと太るしらすにとろとろと山形産のだし浴びせやる 

      雑誌[NHK短歌]11月号[魚料理]佳作 (笹 公人)

947 忌まはしき夢の続きを拒むべく探る枕辺さらに一錠

      読売歌壇・10/17(黒瀬珂瀾)

946  時の疫(え)を避けて籠りて訪はざれば古里いよよ文字(もんじ)どほり

     明治神宮秋の大祭献詠・佳作・10/23出席

945 バブル鬱のなほ残る身に寡夫(やもお)鬱コロナ禍の鬱オンライン鬱

      『定年歌壇』タウン紙[定年時代]10月上旬号・二席(宮澤 燁) 

944 けふの背戸に入れ替りうゐし虫と雨のいつしか混ざりあふを聞く夜半

        桃の會9月度(通信式)・会員好評あり・自選

943 老ゆる身になほも癒えざる鬱の因(もと)ははるか幼時の防空壕にや

        桃の會9月度(通信式)・会員評を参考に推敲・自選

942 多摩市街をモノレールにて渡りつつの仮想は遥か内海(うちうみ)のこ

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/23・秀逸一席(渡 英子)

941 いまならばわが葬はごく内輪にてそそくさ済まむ疫の世ゆゑに

      雑誌『現代短歌』2022911月号[読者歌壇]・地=秀作(萩原裕幸)

940 多摩川原にいま盛りなるさまざまの穂草を渡るモノレールかな

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/16(渡 英子)

939 逃げ帰りて見るレーダーに北多摩は赤や黄だらけいよよ豪雨下

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/9(渡 英子)

938 多摩の丘を囲むごとくに雲湧きて帰省予定を疾()くたてよとや

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・9/2(渡 英子)

937B皮肉にも戦末期には水澄みて海月(くらげ)きてゐき町の子らへと

        桃の會10月度(通信式)・『桃の会だより』に掲載→・自選

937 柚子の枝は雨の日々にも実を育て守りの棘を備えをりしか

        桃の會8月度(通信式)・会員評を参考に推敲・自選

936 梅雨晴れの塀に背伸びよ人ならば裁判沙汰の恋をせし猫       

       全日本短歌大会(第43回)奨励賞・日本歌人クラブより10/1付け賞状。

935 「ヤッホー」は都県境に横たはる八国山ゆ戻りきたれり

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・7/29(渡 英子)

934 ヂャンのあとを調べ豊かに奏であぐるこのCDを呉れし友はも

      雑誌『短歌』8月号[角川歌壇]・題「CD」(河野美砂子)

      【作者より】畏友・天羽健三君から生前に送付された、ムラヴィンスキー指揮のCDです。

933 原爆に至る無道の空襲に復讐期する童なりしよ

      雑誌『短歌』8月号[角川歌壇]佳作(香川哲三)

932 妙齢の喉をつい見つ「声帯は肺臓の弁」と知りてより以後

      雑誌『現代短歌』2022/9月号[読者歌壇]・佳作(萩原裕幸)

931 幼児期に子が好みたるパンの耳を持てあませるよ孫も曾孫も

      雑誌[NHK短歌]8月号[パン]佳作 (笹 公人)

930 靖國の神鏡前の涼しさよ梅雨明けに照る参道を来て

       桃の會7月度(7/3桜新町)・会員票あり

920B壱岐対馬・米・中・露欧も共にせし友は逝きたり知らぬかなたへ

       桃の會7月度(7/3桜新町)・会員票あり

929 隠居所の袋小路を訪ひくれし夏鶯よ多摩訛りかね

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・7/1(渡 英子)

928 「青嵐一号」とでも言ふべしや多摩湖もわれも吹かれそよぎて

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・6/24(渡 英子)

927 わらべにも恋のつらさを想はせて流行りたるかな「湯の町エレジー」

       桃の會6月度(通信式)・会員票諸氏の肯定評を得て 自選

926B鳴き終へて飛び移るてふほととぎすは夜目も効くらし闇にまた鳴く

       桃の會6月度(通信式)・会報に掲載・ 自選歌に追加

926 北多摩の貯水湖畔の望郷は海・山・空の青き紀の国

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・6/17(渡 英子)

925 これやこの和歌山ラーメン屋台なれば皆にならひて早期熟鮨(はやな)も食む

      雑誌[NHK短歌]7月号[名物]佳作 (笹 公人)

924 多摩の丘なればこそよと都心部に架れる虹に停むる自転車

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・6/10・一席(渡 英子)

923 おかげ以て世を共にせる五歳児は子の子の子なり今日はふらここ

      靖國神社-令和四年献詠-次点歌。6/29披講式に参列。 ※曾孫の名は[佐藤 柊(しゅう)

922 小綬鶏のチョットコイなど聞き流し都県境の尾根を踏みゆく

       [よみうり文芸]読売新聞多摩版・6/03(渡 英子)

921 鴨去りし多摩湖は首都の水瓶に戻りて澄めり遠足児らに

      [よみうり文芸]読売新聞多摩版・5/27(渡 英子)

920B壱岐対馬-米-中-露欧も共にせし友は逝きたり知らぬかなたへ

      桃の會7歌会(7/3)・会員票あり

920 壱岐対馬米・中・露欧も瀧井兄と巡りたるかな呑みつ語りつ

      瀧井宏良氏(5/13逝去)のご霊前に・色紙にて献詠

919 憂国の父を九段に拝めざり徴用解除後の病死にて

      雑誌『現代短歌』2022/7月号[読者歌壇]・秀作(萩原裕幸)

918 人間はマスクを着くる生きものと思ひゐるべし世の幼児どち

      読売歌壇・5/10(俵 万智)

917 花明りになにゆゑなるか遠き夜の焼夷弾下のあれこれのこと

      桃の會4月度(通信式)・会員票あり

916 ひらがなのむれさながらめけるしはよるもねざ

      桃の會4月度(通信式)・会員票+評を参考に「のごとくに」を→「さながらに」に推敲

915 大東塾塾監振りのご添削に戦(おのの)きしかな五十年前

      大東神社・長谷川幸男大人之命四十年祭(4/26)にて

914 旅の隠岐水平線と聞きつつも竹島恋が背伸びか

      隠岐後鳥羽院短歌大賞(23)・第一次予選通過

913 わが顔を奥多摩発の杉花粉どつとばかりに通過中らし

      [よみうり文芸]読売新聞多摩版・4/22(渡英子)

912 手術後の目ゆゑか二月行くゆゑか多摩の丘よりすべて明るし

      [よみうり文芸]読売新聞多摩版・4/15(渡英子)

911 買ひ帰る(さかな)つきまとひ西に窓ある台所まで

      NMKラジオ文芸選評・4/9放送・テーマ[キッチン]佳作(小島なお)

910 郷の大人(うし)の御霊も共に和みます今日この丘に老躯侍れる

      大東神社七十六回全物故同志合同慰霊祭(4/3)にて献詠 ※郷の師・三村先生

909 戦災の焼け跡さぐる八歳の指は触れにき春のきざしに

      桃の會3月度(通信式)・会員票+好評あり

908 壇の下の御所車にて控へゐし牛も休めと雛納めかな

      桃の會3月度(通信式)・会員評を参考に改作

907 疫の世なほ籠れとや凌げとやわが北多摩の丘も淡雪

      [よみうり文芸]読売新聞多摩版・3/25(渡英子)

906 稀なおのが老躯に呼び初寝覚気張れ板

      雑誌『現代短歌』2022/5月号[読者歌壇]・秀作(萩原裕幸

905 北多摩にわが拠る駅は改修後もやはり単線やはり横風

      [よみうり文芸]読売新聞多摩版・3/11(渡 英子)

904 ()は気兼ね顔にて拒多摩御陵前にての刻限

      [よみうり文芸]読売新聞多摩版・3/4(渡 英子)

903 向ひかつて聞こきをなつしみつつ閉ざす星空

      桃の會2/7(通信式)・会員票+好評あり<自選>

902 「戦後やなと浮かれし塩ビ製品普及せしこ

      雑誌『短歌』3月号[角川歌壇]・題「ビニール」佳作(中根 誠)

901 いま蝕の月より見れば日蝕にて黒き地球にさぞや光冠

      雑誌『短歌』3月号[角川歌壇]・佳作(水原紫苑)

900 散りてゐたる八手の花蕊(しべ)多摩の初風

      [よみうり文芸]読売新聞多摩版・2/18(渡 英子)

899 巧みはーいはーの連発にてわが発言は遮られ

      雑誌[NHK短歌]3月号[言]佳作 (大森静佳)

898 先ほどの多摩丘陵の北風はいま新宿にビル颪()かな

      [よみうり文芸]読売新聞多摩版2/4・初掲載・佳作(渡 英子)

897 水槽の海鼠よ汝(なれ)はその口を神に裂かし故事を知りてや

      雑誌『現代短歌』2022/3月号[読者歌壇]・佳作(萩原裕幸

896 戦後期に童のわれは思よ国をふたたび鎖()し得ず

      桃の會12/5(久々に新百合・3名)・会報掲載後に<自選>

895 寒風に筋骨さらす仁王像にまみゆるわれは着ぶくれの爺

      NMKラジオ文芸選評・1/15放送・テーマ[会う]佳作(野口あや子)

 

               令 和 三 年 (2021)

 

894 町はづれの林に透けてほの白き富士よな噴きそなほ疫の世ぞ

      NHK学園・冬の誌上短歌大会[白]佳作(伊藤一彦)

893 パソコンといへども灯火親しむに似たるここちよ秋深き夜半

      桃の會(11月・紙上歌会)・会員選評を参考に推敲

892 歩ケレバ歩ケルデマタ気ガモメルと介護談話ぞ如何に老いむか

      雑誌『現代短歌』2022/1月号[読者歌壇]・佳作(萩原裕幸

891 籠を逃げて3DKを駆けめぐるハムスター追ひ皆若かりき

      雑誌[NHK短歌]12月号[ペット]秀歌 (大森静佳)

890 かたつむりその薄手なる殻にてはどこの遺跡を掘れど出でまじ

      東京歌壇[東京新聞]10/10・二席(東 直子) 

889 また秋ぞ倭建命(やまとたける)のごには遠征もせで早世もせで

      読売歌壇・9/27(黒瀬珂瀾)

888 (さるすべ)十五わけ()しゆゑ

      雑誌『短歌』10月号・[角川歌壇]・佳作(御供平佶)

887?いにしへ八岐(ヤマタ)大蛇(オロチ)これらむ空撮画像に河川氾濫

      桃の會(9月・紙上歌会)・会員選評を参考に推敲

886 (じゅ)は趣味の汝が遺影に灯すわれは壽(しかず)

      雑誌『現代短歌』11月号[読者歌壇]・佳作(久々湊盈子)

885 揚げ虎魚(おこぜ)汝が形相に五右衛門の往生ぎはの哄笑を聞く

      雑誌[NHK短歌]10月号[表情]佳作 (大森静佳)

884 多摩に篭る紀(きひと)のわれの茶粥へと遠路て添ふよ梅干

      東京歌壇[東京新聞]8/29・(東 直子)

883 鳴きてまた飛び移るてふ時鳥は夜目も利くらし更けてなほ聞く

      雑誌『短歌』9月号・[角川歌壇]・佳作(日高尭子)

882 せぬ特許許可局(トッキョキョカキョク)ぬけぬ裏山いまだ暁

      桃の會(8月・紙上歌会)・会員選評を参考に推敲

881?そそぐ水のたちまち乾く墓石の下には汗を流さざる妻

      桃の會(8月・紙上歌会)・会員選評を参考に推敲

880 病床ではュー刺さ友の鼻腔に今日はラーメンの湯気

      日本歌人クラブ全日本短歌大会(42)優良賞(8/18付通知あり)

879 四季の雲順序不同に来ては去り目まぐるしやな荒梅雨の窓

      桃の會(7月・紙上歌会)・会員評を参考に推敲

878 師の句集の帯に際那智の滝われ一滴しづ

      雑誌『現代短歌』9月号[読者歌壇]地・秀作(久々湊盈子)

877 高層のビルの狭間に天気雨副都心にも狐嫁ぐか

      雑誌[NHK短歌]8月号[街・街・まち]佳作 (田村元)

876 教室の拡声器よりウミユカバ/オキナハ/ギョクサイ遠き七歳

      桃の會(6月・紙上歌会)・会員票あり。

875 ()ンナジヤデと叔母御は誇り母は照れ

      テレビ「NHK短歌」6/20放送・[母」三席(大森静佳)※「生マレヤと」に添削あり。

874 好奇心をこらへきれぬか新設のアンテナ塔へと鴉三羽目

      雑誌[NHK短歌]6月号[心]佳作 (大森静佳)

873 つかのこ憚りて詠ざれば腹るるよ趣味に過ぎねど

      雑誌『現代短歌』7月号[読者歌壇]地・秀作(久々湊盈子)

872 朧月かの高鷲()て語ひまさむ対(つひ)の碑(しぶみ)

      桃の會(5月・紙上歌会)・会員評を参考に推敲

806 余寒も宴(うた)めきたる通夜なりき高度成長のころ逝し母

      『定年歌壇』-タウン紙[定年時代]5月上旬号・(宮澤 燁) 

870 わが郷の備長炭を気前よく焼()べてくるるよ流行れこの店

      読売歌壇・5/10(黒瀬珂瀾)

869 昭和風に言へば曾孫は豆戦車(タンク)春の川原を駆けて止まざる

      読売歌壇・5/3(小池 光)

869 トルを帯びて餅搗く巡査かもせしが今は見掛けず

      雑誌『短歌』5月号[角川歌壇]・題「餅」一席(林 清和)

868 南紀なる従弟の電話東京は雪かこつちも霙れきやるで」

      雑誌『短歌』5月号・[角川歌壇]・佳作(大塚寅彦)

867 隠岐にま来て去る()(とも)しまけむ(たか)島守

      隠岐後鳥羽院短歌大賞(22)・予選通過。

866 翳りゐし旧居を訪へば駐車場それも青空しかも春風

      桃の会(4/4新百合ヶ丘)・会員の好評を得て自選

865 むるたびになほ降る雨を聞をれば堪りかねしか興こ

      桃の会(4/4新百合ヶ丘)・会員の好評を得て自選

864 淡雪の着水せるを飽きもせでむさぼれるしかとる鯉

      武蔵野市短歌大会(NHK学園)題[光]入選・3/26作品集着

863 桃の會を支へて継ぎて率ゐましし石田先生なほご覧()じを

      桃の会(通信式)3/24着・会員選あり

862 多摩に籠りをればこそよと春先の都にかかる虹を仰げる

      桃の会(通信式)3/24着・会員評を参考に改作

861 血塗られし言葉がちてふ諸国歌に比べて柔しわ「君が代

      雑誌『現代短歌』5月号[読者歌壇]佳作(久々湊盈子)

860 ウタテイなど古語継ぐ郷の子たちとも過ごしたるかな新制中学

      桃の会(通信式)2/17着・題「新]・会員評を参考に推敲

859 戦後にだ味へぬ林檎愛る歌に流行(はや)かな

      桃の会(通信式)2/17着・題「新]・会員評を参考に推敲

858 初旅の今日を記すに新しき手帳の綴ぢはまだ硬きかな

      雑誌[NHK短歌]3月号[カレンダー/手帳]佳作 (小島なお)

857 斬首後に数歩進みし鶏を覗き見たりき疎開先にて

      雑誌[NHK短歌]3月号[鶏/酉]佳作 (松村正直)

856 は職に金曜ひつ

      雑誌『短歌』2月号・[角川歌壇]・佳作(斉藤斎藤)

855 駅ごとにひらくドアより聞く虫の声高まりて家近きかな

      雑誌『短歌』2月号・[角川歌壇]・佳作(香川ヒサ)

854 初夢はまだ現役の会議にて新パッケージに責めを浴びをり 

      桃の会(通信式)1/10・題「新]・会員評を参考に推敲

853 元日の散歩に見たる日の丸は都合三棹(さお)よわが家ふくめて

      桃の会(通信式)1/10・会員評を参考に推敲

852 軒下に鮮やぎてゐし石蕗(つわぶき)の花も師走を拒みきれずや

      雑誌『現代短歌』3月号[読者歌壇]佳作(久々湊盈子)

851 「秋の蚊の声過ぎゆきぬ枕許」をればりくるらし

      雑誌[NHK短歌]2月号[布団/枕]佳作 (小島なお)

850 犬は頭を噛まれけり明けを舞ふ獅子の()つ歯()

      テレビ「NHK短歌」2/7(日曜午前)6:00~6:25放送・題[犬]松村正直選

 


 

              令 和 二 年 (2020)

 

849 高貴る指揮者の伝を遺したる友幽(かく)世にまみえ得るか

      桃の会(通信歌会)12/15着信の会員評を参考に推敲

848 平成の天長節には「今日よは日脚伸びむ」立てしかな

      桃の会(通信歌会)12/15着信の会員評を参考に推敲

847 惚けつつもインターネット試みる国勢調査まづ「独居

      NHK全国短歌大会(第22回)全国短歌大会・入選

846 みな去りし正月過ぎの隠居家に戻りきたるよ隙間風どち

      NHK全国短歌大会(第22回)全国短歌大会・入選

845 担任の弁当箱にさつまいもをただ一つ見き国民学校

      雑誌『短歌』12月号・題[弁当](中西洋子) 【評】食糧難は教師にも生徒にも容赦ない時代。

844 さりげなく自賛の種を散りばむる例の話法か再会の知己

      雑誌『現代短歌』1月号[読者歌壇]佳作(久々湊盈子) ※今回より選者制を復活

843 淡き雲に透けてその名もはかなげよ後の月とも十三夜とも

      桃の会11/4(石田圭介・肯定) 【評】第三句「はかなげよ」は要再考か?

842 みづからの縞(しま)と縞をすれすれにすれちがはせて蛇の反転

      雑誌[NHK短歌]11月号[蛇]佳作 (松村正直)

841 きはやかに澄みゐし望(もち)は夢なれや霧らふ十六夜にじむ立待

      桃の会・10/4(石田圭介)  【評】うまく詠まれてゐる。

840 家を囲み勝ち誇りゐしどくだみを萎えさせたるよ炎暑万歳

      雑誌『短歌』10月号・[角川歌壇]・特選 (花山周子)

839 (ひがみな)まし坂に喘ぎゐるわが電気自転車(でんちゃり)を叱咤

      東京歌壇[東京新聞]9/20(東 直子) 

838 枝の蟬に恋ひ寄りねもごろに過ごす始終を見とどけにけり

      雑誌『現代短歌』11月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

837 おだやかにボクハ右翼トチガフノヤ民族派ヤとむかし郷の師

      雑誌『現代短歌』11月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

836 ふるさとの鈍行なれや養殖ノ鯛ガ蛸メニ」噛マレタンヤナ

      雑誌『現代短歌』11月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

835? 絵手紙の或るグループの展示会を訪へど淡しよ個性めくもの

      雑誌[NHK短歌]10月号[手紙]佳作 (小島なお)

834 夜半覚めて聞入る虫にまじりきし遠サレンよ離(さか)りゆけ

      桃の会・9/6・会員選評を参考に推敲

833 照り降りにつけて偲ばゆ在りし妻の洗濯物の出し入れのわざ

      桃の会・9/6・会員選評あり

832 炎昼へと冷房バスを出でし身に火葬の釦(ぼたん)押されたるかと

      東京歌壇[東京新聞]9/6(東 直子) 

831 散る竹を眼(まなこ)に追へばそれぞれに己が日影と地表にて逢ふ

      現代歌人協会・第49回・全国短歌大会・10/21選歌集着・入選(林清和)

830 ふるさとの宵の空にも昇ゐむ梅雨しのぎつつ丸()し月

      桃の会・8/18着信・会員諸氏の意見を参考に推敲

829 ながく荒き梅雨のあひ間の夕焼に願ふは己がことにあらずよ

      桃の会・8/18着信・会員特選評あり

828 年頃に自室の壁を蹴破りし次男め「部下を躾(たび)けてる」とぞ

      雑誌[NHK短歌]9月号[破]佳作 (寺井龍哉)

827 停に苛立ち告ぐるスマホ駆使

      雑誌[NHK短歌]9月号[電話/スマートホーン]佳作 (小島なお)

826 空撮の東京タワーゆスカイツリーの直線下にはほぼ緑なし

      雑誌『短歌』8月号・[角川歌壇]・佳作(染野太朗)

825 同好の写生倶楽部の存廃を議する事態ぞ噤め鳥どち

      雑誌『短歌』8月号[角川歌壇]佳作(秋山佐和子)

824 腹を据て受けねばならぬこ真夜の電話鳴(たび)

      雑誌『現代短歌』9月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

823 思ひきやかの終戦期めける世に又も遭ふとは/疫の禍(まが)にて

      雑誌『現代短歌』9月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

822 ポケットの電話受くるにまいどとて低頭せるよこれが倅か

      雑誌『現代短歌』9月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

821 「春愁や金ややゐて」と捻(ひね)る余裕もあかの頃

      雑誌[NHK短歌]8月号,[お金]佳作 (小島なお)

820 梅雨の底ぐりたれる甲ありて歌会に友の笑ひはれやか

      桃の会・7/5/・会員意見を参考に推敲

819 ()(まが)かさなる球磨の荒梅雨をや多摩を飾る紫陽花

      桃の会・7/5/・会員意見を参考に推敲

818 あめんぼ同士にトラブこらざりしよ見つめをれども

      読売歌壇(6/29)・二席・黒木珂瀾

817 そもそもは麦藁なりしストローの遥かなるあのにひほひはも

      NHKラジオ[文芸選評]6/27放送[匂い]特選(穂村 弘)/ 雑誌[NHK短歌] 9月号に掲載

816 遠き真夜の城下町への空襲に脆(もろ)かりしかな小童(こわらべ)の恋

      桃の会・6/23着メールの会員意見を参考に改作

815 英霊も祀る鎮守のたそがれを蝙蝠(こうもり)舞ひぬ魂(たま)乗らすがに

      桃の会・6/23着メールの会員意見を参考に改作

814 揚げひ居におはす神ちに鳴いて乞へ疫病(えみ)なき世

      桃の会・紙上歌会・5/23着の会員評を参考に改作

813 口笛を常好みし隣人よ黄泉路もヒュュルヒューで行かれよ

      雑誌[NHK短歌]6月号,[口]佳作秀歌 (寺井龍哉)

812 石段にていきなりわれを抜きし蝶は先を登れる孫へ舞ひゆく

      雑誌[NHK短歌]6月号,[石]佳作 (小島なお)

811 このてるで感染()んでとおどけきた訛り

      雑誌『現代短歌』7月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

810 日の丸をわが出生日の明けの日に掲ぐる御代となりにけるかな

      雑誌『現代短歌』7月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

809 燈台にありし螺旋を末の孫は「ぐるぐる階段」とて上下せる

      雑誌『現代短歌』7月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

808 神たちに誓ひ申さむ折りからの武漢疫病(えやみ)を我ら凌ぐと

      大東神社4/3(創立八十一周年祭-七十四回物故同志合同慰霊祭)に欠席献詠 ※郷の師-三村先生

807 花に月の満ちゆく夜ごと偲ばるる郷の先師の高歌放吟

      桃の会・4/6(メール歌会)・石田圭介+会員評を参考に改作

806 視界いま万華鏡かな酩酊に眼鏡せず行く歳晩の街

      『定年歌壇』・タウン紙[定年時代]4月上旬号・第二席・(宮澤 燁) 

805 日の丸を二月の二十三日に掲げ初()めけり令和弥栄(いやさか)

      桃の会・3/1コロナ休会→『桃の会だより』(40号)に掲載

804 ふあ高鷲栄()(つい)(しぶみ)解の瀬音さぞ高みゐむ

      桃の会・3/1コロナ休会→『桃の会だより』(40号)に掲載

803 後醍醐の帝(みかど)の島ゆ後鳥羽院の島とフェリーは御代上れる

      隠岐後鳥羽院短歌大賞?・松籟特別表彰作の通知あるも、作者の判断で先年の応募作を残す。

      入賞歌=「後醍醐の帝の島ゆ後鳥羽院の島へ令和のフェリー忽ち」

802 会へと繋むと終日(ひねもす)ビ消さざる里のひとびと

      東京歌壇[東京新聞]11/4 ・特選一席(東 直子) 

801 七十余年むかしのわれにあらざるや枯野原へと消ゆる童は

      雑誌[NHK短歌]4月号,[消]佳作 (江戸 雪)

800 郷里への見舞電話に応()へしは常ならぬ声ガイナ雨ヨラ

      雑誌『現代短歌』5月号[読者近詠](自選欄)に掲載

799 今ならばストーカー行為なりしかな十七歳にて諦めしこと

      雑誌『現代短歌』5月号[読者近詠](自選欄)に掲載

798 来年の御()題の「実を畏みし今朝の道辺に映ゆる金柑

      雑誌『現代短歌』5月号[読者近詠](自選欄)に掲載

797 ひらかむと競ふ辛夷(こぶし)蕾どちは知るや新型肺炎騒ぎを

      NHKラジオ[文芸選評]3/9放送/ 雑誌[NHK短歌] 5月号・佳作 (梅内美華子)

796 (かく)り世へと抱へゆきしは何ならむ原発要員なりし秀才

      『定年歌壇』・タウン紙[定年時代]3月上旬号・第一席・(宮澤 燁)

795 亡き妻よ現し世のこの散歩道は茶畑にまた花のころにて

      雑誌『短歌』令和二年3月号・[角川歌壇]・佳作(江戸 雪)

794 裏山に入る日いよいよためらひて冬至を五週過ぎにけるかな

      読売歌壇(2/24)・二席・栗木京子

793 ()れ池と見しが普請の始めより泥まみれなり人も重機も

      桃の会・2/2・会員選評あり

792 戦時下の探照灯を思ふなり(むら)よりの月光の矢に

      雑誌[NHK短歌]2月号,[矢]佳作 (江戸 雪)

791 ぐるるを人里さして鳴きゆくは子鴉に餌()をせがまれてら

      雑誌『現代短歌』3月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

790 「あの銀河も核融合」と語りゐし友よ御霊はすでにあちらか

      雑誌『現代短歌』3月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

789 このたびも息子を騙(かた)電話切りて娘がらのなきを可しむ

      雑誌『現代短歌』3月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

788 丘住まひのこの季(とき)なれや軒先の八手の花に昇る夕月

      桃の会・1/12・鷲野選

783 減り減りて遂に独居の寡(やもめ)爺に郵便バイクは今日も

      NHK・第21回(令和元年度)全国短歌大会・入選

 

              令 和 元 年 (2019)

 

787 古歌にい暁露(あかときつ)に触たるよ常より早ごみ出しし今朝

      雑誌『短歌』令和二年1月号・[角川歌壇]・佳作(江戸 雪

786 「あさみどり」明治の御製唱へをり台風一過の令和の朝(あした)

      読売歌壇・9/23・二席(岡野弘彦・添削)

785 戻りきし鴨ら知るまじ夏の夜のこのみづうみに映えし花火を

      桃の会・12/1・(石田圭介・肯定)

784 荒れ庭にこぼれ種なほ繰返す朝顔よもうよろしいのでは

      雑誌『短歌』12月号・[角川歌壇]・佳作(永田 紅)

783 減り減りて遂に独居の寡(やもめ)爺に郵便バイクは今日も
      NHK・第21回(令和元年度)全国短歌大会・入選

782 裏山に木の実時雨を聞きをればしばしば枝に弾むらしきも

      雑誌[NHK短歌]12月号,[しばしば]佳作 (江戸 雪)

781 はモシモシなれど今日聞くはモシモーシなるぞけだし遠距離

      雑誌『現代短歌』新装・平成2年1月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

780 十月の暴風雨後の満月にやや恨めしき人々もさぞ

      雑誌『現代短歌』新装・平成2年1月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

779 某国の賓館てふに泊まりしが湯は出ざりしよ従者部屋にて

      雑誌『現代短歌』新装・平成2年1月号[読者近詠]大文字で掲載(編集部判断?)

778 玉入れにリレー走にと沸きあがる歓声とどけ鰯雲まで

      桃の会・11/3・会員選あり

777 あれこれの旅を偲べば大小の橋をいくつも経てきたるかな

      雑誌『短歌』11月号・[角川歌壇]・佳作(永田 紅)

776 戻したる亀のカメタはこの月を仰いでいゐるか池に浮かびて

      雑誌『現代短歌』11月号[読者歌壇]作作(實藤恒星子)

775 ほとばしる水流式の滑り台をくり返す猿しかとする猿

      雑誌『現代短歌』11月号[読者歌壇]作作(藤原龍一郎)

774 通夜葬儀ともに式後は宴(うたげ)めく集ひなりしよバブル盛りに

      『定年歌壇』・タウン紙[定年時代]10月上旬号・二席・(宮澤 燁) 

773B伊勢の宮の垣の内へと召されての二礼二拍ぞわななきにつつ

      桃の会・10/6・会員の助言を得て推敲 ※伊勢神宮観月祭(9/13)に献詠・参列の感慨

773 いづこよりてもよきゆゑ電話鳴と願ふこといてとき

      読売歌壇・9/23・二席(小池 光)

772 ヒト科には顕著と聞きし発汗もめつきり減りぬ傘寿経し肌

      雑誌[NHK短歌]10月号,[肌]佳作 (佐佐木頼綱)

771 かの火星の赤味は土の色とやらわが母星こそ永久(とわ)に青かれ

      雑誌[NHK短歌]10月号,[永]佳作 (江戸 雪)

770 幼児してしカンサイキ「艦に載る機とのちに知り

      雑誌『現代短歌』10月号[読者歌壇]秀作(藤原龍一郎)+佳作(實藤恒子)

769 岬への丘ゆ見晴らす東西の海に晩(おそ)夏初(はつ)秋のいろ

      桃の会・9/1・会員より好評あり

768 道草児らの尿(ゆばり)を浴びし蟇(がま)わりと向きを変へてそのま

      雑誌『短歌』9月号・[角川歌壇]・佳作(水原紫苑)

767 紫陽花の裏の配水システムのこのこみ入りし分かりやすさよ

      雑誌[NHK短歌]9月号,ラジオ文芸選評・佳作 (篠弘)

766 ご祭神の五瀬(ツセ)()雄叫(おたけ)びの響なれや樟の

      雑誌[NHK短歌]9月号,[木]佳作 (江戸 雪) *郷里和歌山市の竈山神社(祭神は神武天皇の兄君)

765 休み田を過ぎ工場過ぎ特急の窓にやうやく植田来たれり

      雑誌『現代短歌』9月号[読者歌壇]佳作(藤原龍一郎)

764 紫陽花にこころ遥かや旅の隠岐の北の岬を飾りゐしよと

      雑誌『現代短歌』9月号[読者歌壇]佳作(實藤恒子) ※結句「飾りてゐしよ」で掲載は添削?

763 少年と少女の恋にふるさとの月淡かりき天守閣あと

      伊勢神宮観月会に献詠・佳作(岡野弘彦選) 9/13参列,表彰あり ※[天主]→[天守]に事後訂正

762 機窓下の富士の裾野に点在の五湖それぞれの富士も見しかな

      武蔵野市短歌大会・題[野]・入選・8/6通知着

761 寡夫(やもめお)の平均余命四年てふを三倍経たり酔ひ痴れにつつ

      読売歌壇・8/5(小池 光)

760 「靖國神社にて」英霊の二百四十六万に数及ぶかに時雨かな

      桃の会・8/4(石田圭介)

759 「ダービー後の宵の巷に迷子かな」とわれも見捨てつ芭蕉気取りに

      雑誌『現代短歌』8月号[読者歌壇]佳作(藤原龍一郎)

58B大八(やしま)も揺るるになにゑぞ事記に地震(ない)のことるは

      桃の会・7/7・(石田圭介)

758 モノレールより多摩の川原に草そよぎ裏返る見ゆ白波のごと

      桃の会・7/7・石田圭介選評を参考に推敲。

757 昭和びとのわ明治にも似むか令和つ子昭和メー

      雑誌『現代短歌』7月号[読者歌壇]佳作(藤原龍一郎)

756 出生地の嫉(そね)みの気風を聞かせれドコモオナ」と外来の嫁

      雑誌『現代短歌』7月号[読者歌壇]佳作(實藤恒子)

755 二日酔ひの悔いを払ひて吹き込むは青葉若葉の香ぞ朝戸風

      桃の会・6/2・石田圭介肯定。

754 救急車に会へば思ひぬ添乗にて送りし妻の還らざりしを

      雑誌[NHK短歌]6月号,[会う]佳作秀歌 (江戸 雪)

753 パソコンとバッテリ転車頼(だよ)りなれど米寿を目指せ脳および足

      雑誌『現代短歌』・6月号[読者歌壇]・佳作共選(藤原龍一郎+實藤恒子) 

752 入口の標示は「恩賜公園」ぞいざ行儀よく花宴(うた)せな

      読売歌壇・5/13・(小池 光)

751 尊貴いかに見そなはやこの隠岐に来居自在のつらめらを

       隠岐後鳥羽院短歌大賞⑳・松籟特別表彰作の語順を再考。

       入賞歌=「この隠岐に来居自在のつばくろを尊貴はいかに見そなはししや」

750 御代替りを畏(かしこ)む日々に藤の房は浪を見せつつ色深みゆく

      桃の会・4/7・会員好評を参考に推敲。

749 ヒイチャンと曾爺(ひいじじ)われを呼ぶ汝(なれ)入学までを惚(ほう)けざるべし

      桃の会・4/7・会員好評を参考に推敲。

748 進化せぬヒト科はいまだヒトを(いじ)め苛めらるるよ我も孫(まごこ)

      雑誌『現代短歌』・5月号[読者歌壇]・佳作・(實藤恒子)

747 揚げひばり天(アメ)ノ八衢(ヤチマタ)へと行きて耳傾けよ神の集ひに

      桃の会・4/7・会員好評を参考に推敲.。

746 休暇にて人かげ見ざる校庭に花吹雪くなりあたら舞ふなり

      桃の会・4/7・会員好評を参考に推敲.。

745 郷の師の御霊(みたま)もゐますこの丘へこの社(やしろ)へとまた慕ひ来つ

      大東神社に献詠(大東塾創立八十年祭-第七十三回全物故同志合同慰霊祭)※郷の師-三村行雄先生

744 故郷への錦にはなり得ざるべし我が革コート姿ごときは

      雑誌『短歌』4月号・題[コート](沖ななも)

743 春雨の歌会に思(も)ひぬ京子師の訃音(ふいん)ののちに聞きし雨垂れ

      桃の会・3/3・山川京子師五年祭に献詠

742 池の面(も)に着く淡雪をむさぼれる鯉らにやがて花吹雪くべし

      桃の会・3/3・石田圭介+会員好評を参考に推敲. 【評】芸術的な表現。

741 きさらぎの夕空映す川の面(も)をよぎる鴛鴦(おし)どち水脈(みお)の華やぎ

      桃の会・3/3・石田圭介+会員好評を参考に推敲

740 隠居家に増しし配線われ死なば棺の中まで延ばさるるやも

      雑誌[NHK短歌]3月号,テーマ〈家〉・佳作・(東 直子)

739 飼犬はつひにここ掘れワンワンと鳴かで逝きにき或る年の除夜

      雑誌『現代短歌』・平成31年3月号[読者歌壇]・特選・(藤原龍一郎)

738 表面にも裏面にも名の抜け落ちしこの賀状こそ当たり籤(くじ)なれ

      読売歌壇2/11?・ (俵 万智)

737B涸れ池の罅(ひび)の奥にはあまたなるいのち宿らむ春を待ちゐむ

      桃の会・2/3・石田圭介+会員票を参考に推敲

737 堤行く登校児らに芽柳の糸そよがせて風光るなり

      雑誌『不二』2月号[平成三十一年度・勅題「光」」詠進歌集]に収録

736 水槽に冬眠したる飼亀の夢路の先に竜宮城あれ

      雑誌『短歌』2月号・[角川歌壇]・佳作(久々湊盈子)

735 受話器よりひきつる声は次男にて「裁判員の通知来たよォー」

      読売歌壇1/21?・ (小池 光)

734 混血の肌濃き孫よお釈迦さまもそなたに似たる色なりしはず

      雑誌[NHK短歌]2月号,テーマ〈濃〉・佳作・(真中朋久)

733 年明けに京子師遺作の茶碗もて含めばうまし番茶なれども

      桃の会・1/13・石田圭介添削

 


 

                平成30(2018)

732 降る木の実にそれぞれ馴れし小枝とのつひの別れの刹那あるはず

      読売歌壇12/17?・二席 (小池 光)

731B十三夜の多摩ゆ願ひぬ高鷲(たかし)なる妹背の碑にも月清かにと

      桃の会・11/4・好評あり・『桃の会だより』に掲載

731 さしかかる特養老人ホームより演歌合唱「ひとり泣く」とぞ

      雑誌『現代短歌』・平成31年1月号[読者歌壇]・佳作・(木村雅子)

730 散る公孫樹(いちょう)にをりしも昇る夕月はしかも望(もち)なり佇めとこそ

      桃の会・12/2・会員票+石田圭介好評

729 こかつて妻の果てゆく々を盛りゐし百日(さるすべり)めをまた疎(うと)む日

      雑誌『短歌』12月号・[角川歌壇]・佳作(松平盟子)

728 金繰りの頃ゆおほよそ二昔(ふたむかし)経れど夜長の夢になほ繰る
      NHK・第20回(平成30年度)全国短歌大会・入選

727 傘より先づあらはれてありぬ(かが)躯をなほもかがめ

      雑誌[NHK短歌]12月号,テーマ〈身体〉・佳作・(東 直子)

726 祭り後の跡片づけは済ませても寄付の掲示は延ばすものらし

         雑誌『現代短歌』11月号[読者歌壇]・佳作共選(木村雅子+飛髙敬)

725? ペシペシペシ夜爪嫌ひし母も妻も忌をかさねたり儘(まま)よペシペシ

      『定年歌壇』・タウン紙[定年時代]11月上旬号・一席・(宮澤 燁)

724 ぎに登りゆく孫を追ふが電気自転車(でんちゃり)バッテリー切れ

      東京歌壇[東京新聞]11/4 ?(東 直子) 

723 電柱の違法看板引き剥がす駐在さんにしばし見惚るる

      しののめ歌会,ふらんす堂通信15810/末・(東直子)

722 各種ごとに好みの木に鳴くといふになにゆゑ汝(な)は電柱なる

      しののめ歌会,ふらんす堂通信15810/末・(東直子)

721 「お天守閣(てんしゅ)」は大火柱と化してゐき教理へのかの空襲の夜半

      しののめ歌会,ふらんす堂通信15810/末・(東直子)

720 この星の禍(まが)てふ禍を映してや赤錆色の月重く出づ

      雑誌『短歌』11月号・[角川歌壇]・佳作一席(松平盟子)

719 雲ひとつ隔てて変はる空の青をい指したまひき師は絵筆もて

      桃の会・10/7・会員評を参考に推敲

718 買ひ帰る鰯にくどき西日かな持つ手替へても道を替へても

      桃の会・10/7・会員好評歌

717 「村」のつく地名かほども多きかと豪雨災禍の速報を見る

      雑誌『短歌』10月号・[角川歌壇]・秀逸(藤島秀憲法

716 台風の迫れる里ゆ都へと逃げ戻りきて心苦しや

      桃の会・9/9・石田圭介ほか会員評を参考に推敲

715 行く夏の大朝焼に堪(たま)らじと草に鳴くもの木にわめくもの

      桃の会・9/9・(石田圭介)

714 呑み込釣り抜いて放しが鮠()走らず斜()にただよ

      雑誌『短歌』9月号・題詠[釣り]・(中西洋子)/『短歌年鑑』の「題詠秀歌」欄に収録

713 オヂイチヤ僕ガ電車ヲ運転シテ乗セテヤルマデ生キテヰロとな

      雑誌『短歌』9月号・[角川歌壇]・佳作(田宮朋子)

712 紫陽花につらくあたりし夏至の陽はいりつつもなほ峰雲に映ゆ

      雑誌『現代短歌』9月号[読者歌壇]・佳作・(木村雅子)

711 墓碑の字の凹(くぼ)に見いでし雨蛙おどさぬほどに水そそぎゆく

      読売歌壇8/6?・ (岡野弘彦)

710 名月や飛行機SATANはわが遥かなるイティン句かな

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1577/末・(東直子)

709 郷のこの城垣に絵を展示せし七少年に六十余年ぞ

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1577/末(東直子)

708 「防黴(ぼうばい)剤不使用とある売り棚と隣るレモンの肌の差異はも

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1577/末・(東直子)

707 叱るたびに孫の単車は50から250に750(ななはん)に化す

      雑誌『短歌』8月号・[角川歌壇]・秀逸共選(田宮朋子+染野太朗) 

706 虫の音()を翅擦(はねす)る音(おと)と知りてより合唱ならで合奏と聴く

      雑誌[NHK短歌]8月号,テーマ〈音楽〉・佳作・(東 直子)

705 予備知識どほりなるかなただ五文字「森林太郎墓」とあるのみ

      雑誌『現代短歌』8月号[読者歌壇]・佳作共選(前田康子+千々和久幸)  

704 靖國の宮にささげて唱へらるる歌は今しも吾()を離(さか)りゆく

      桃の会・7/8・出席諸氏より祝意を拝受

703 あぢさゐに想ひ遥かや旅の隠岐の北の岬を飾りゐしよと

      桃の会・7/8・出席諸氏より肯定評

702 辛うじて蛇をかはしし自転車の蛇行に耐へよ傘寿わが四肢

      雑誌[NHK短歌]7月号,兼題〈辛〉・佳作・(真中朋久)

701 遺句集の表紙の色は妻よ汝が飲めねでど愛でし葡萄酒の赤

      雑誌[NHK短歌]7月号,兼題〈飲み物〉・佳作・(東 直子)

700C特急の機密の窓の水田にはさぞ喚(わめ)きゐむ夕蛙どち

      桃の会・3/4欠席詠→・『桃の会だより・33号』に掲載

700B水を得し田は夕映えて休み田ははや醜(しこ)の気()にくすみたる

      桃の会・3/4欠席詠→・『桃の会だより・33号』に掲載

700 パニく」てふ新語をかつて疎(と)みしが天変地異のたびに容れゆく

      雑誌『現代短歌』7月号[読者歌壇]・特選(千々和久幸)+佳作(前田康子)

699 多摩湖辺に居つきて望む遠富士のさらに彼方の紀の海を恋ふ

      靖國神社(平成三十年)献詠歌・兼題[恋]・預選歌・6/29献詠式に参列。

698 こぼれ種のポピー咲き継ぎこのたびは妻の十三回忌告げくる

      東京歌壇[東京新聞]5/27?(東 直子) 

697 囀りの林に入るや老友との会話たちまち怒鳴りあひめく

      雑誌[NHK短歌]6月号,兼題〈会話〉・佳作・(東 直子)

696 位牌なる汝(なれ)とかつては夫婦(めおと)して桜吹雪を浴びもせしかな

      雑誌『現代短歌』6月号[読者歌壇]・佳作・(千々和久幸)     

695 来し犬は尻尾しきりに振りをれどロープの主は目をそらし行く

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1564/末・(東直子)

694 昼酒の相伴に酔ふ飼猿へと演歌うなれり山里の爺

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1564/末・(東直子)

693 雛壇の下に停まれる御(み)車の黒牛よ汝(な)はさぞや徒然(つれづれ)

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1564/末・(東直子)

692 庇より塀に跳びたる恋猫を追ふ恋猫も同じフォームよ

      雑誌[NHK短歌]5月号,兼題〈同じ〉・佳作・(黒松珂瀾)

691 兜太翁の「俺は死なねえ気がする」を信じをりしに恃(たの)みをりしに

      読売歌壇3/26?・三席 (小池 光)  

690 咲か連レモテ(イ)と紀人(きひと)は待ちかねてゐむ昔どほり

      東京歌壇[東京新聞]4/8 ?(東 直子)※ 初掲載 

689 岬なる春の干潮(ひしお)に偲ぶなり礁(いくり)のごとき人も坐(ま)ししと

      大東神社物故同志慰霊祭に献詠・4/3

688 風呂に歌ふススメヒノマルテツカブトは幼な心に戻るわが術(すべ)

      『定年歌壇』-タウン紙[定年時代]4月上旬号・二席(宮澤 燁) ※昨年8月投稿分

687 語りつぎ言ひつがれ士の嶺(ね)機窓ぞ(う)ざら

      雑誌『不二』2月号[平成三十年度・勅題「語る」詠進歌集]に収録

686B覚めて今朝は満八十か寡夫(やもお)ゆゑ我とわが身をまづは寿(ことほ)

      雑誌『現代短歌』5月号[読者歌壇]・佳作(千々和久幸+前田康子)     

686 覚めて今朝は満八十の寡夫(やもお)だから我とわが身をまづは祝福

      雑誌[NHK短歌]4月号,兼題〈だから〉・佳作秀歌・(大松達知)

685 名を問へシュ」と答ふ(ひい)その(ひいらぎ)字を知る

      明治神宮春季大祭奉祝短歌・佳作・5/6・献詠歌奉奠式・大会に参列。

684 遠き日に手鍋を下げて添ひし妻の逝きて遺れり家電一式

      角川全国短歌大会⑨兼題〈手〉『短歌生活』[作品集]に収録

683 初曾孫を初抱つこせるわが四肢よしばし萎ゆるな脳も臓腑も

      角川全国短歌大会⑨『短歌生活』[作品集]に収録

682 まはり道に花盛りなる桃の枝に今宵は望(もち)の月昇るべし

      桃の会・3/4・合評を参考に推敲

681 みたる柳の糸の結はれゐしを解(ほど)きやりたり垂れてそよげと

      桃の会・3/4・合評を参考に推敲

680 池の面(も)に解けのこりたる薄ら氷(ひ)は浮雲めくか鯉や鮒には

      読売歌壇2/26? (俵 万智)

679 天津神の射返しし矢に当たりたる使者の葬(はぶ)りも確(しか)事記』に

      雑誌[NHK短歌]3月号,兼題〈当たる〉佳作・(大松達知)

678 終戦を告らすラジオを仰ぐわれは買出しの母の留守居なりにき

      雑誌[NHK短歌]3月号,兼題〈買う〉・佳作・(永田和宏)

677 波形の凹凸までもぬけぬけと似せて合成樹脂の湯婆(たんぽ)

      雑誌『現代短歌』2月号[読者歌壇]・秀作(千々和久幸)+佳作(前田康子)       

676 海峡をまばゆく望む丘にして陰りがちなり豌豆の花

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1551/末・(東直子)

675 境内にスピーカーより「手袋の拾ひ物」とぞ豆撒きののち

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1551/末・(東直子)

674 独り居の湯豆腐すでに掬ひつくし無聊しのぎにつづるこの歌

      しののめ歌会,ふらんす堂通信1551/末・(東直子)

673 疾うに冬の蜂となりしを知らざるや羽音しきりに停止飛行せる

      雑誌[NHK短歌]2月号,兼題〈もっと〉・佳作・(大松達知)

672Bをなメ理(ツク)リテ固メ成」と地震(ない)()りたるか年の立真夜

      桃の会・1/14・会員合評を参考に推敲

672 「ウミユカバミヅクカバネ」と少国民われも歌ひき声をあはせて

      雑誌[NHK短歌]2月号,兼題〈歌・歌う〉・佳作・(永田和宏)

671 傘寿われがかつて今ごろ作りゐしは正月用のテレビCM

      雑誌『現代短歌』2月号[読者歌壇]・佳作(大下一真)

670 制定より年経たれども語意解(げ)せぬ「勤労感謝」てふ日なりけふ

      雑誌『現代短歌』2月号[読者歌壇]・秀作(久我田鶴子)

       


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